2025年4月の記事一覧
前を向いて学校で楽しみを見つけよう
「人は楽しみに導かれて仕事をする」
入学式の式辞でも触れましたが、ヨハン・ホイジンガについて書きたいと思います。
ヨハン・ホイジンガはオランダの歴史家で社会学者です。何を研究したかというと、ズバリ「人は何をよすがに生きるのか」を論じた人です。
著書としては「中世の秋」があります。これはキリスト教でガチガチだった中世の人は、何を楽しみに生きていたのかを考察したものです。もう一つは「ホモ・ルーデンス」、日本語訳せば「遊ぶ人」といった意味でしょうか。誤解なきように言いますが、ホイジンガは「遊び」を広くとらえています。どちらかと言えば「楽しみ」や「余裕」、「息抜き」に近い意味で捉えています。
では、ホイジンガは何が言いたかったのか。結論から言えば、ホイジンガの研究の本質は「人は楽しみに導かれて、生活している」ということです。私もそうですが、仕事は時にきついし嫌になることもあります。しかし、どんなきつい仕事にも「楽しみ」があるというのが、ホイジンガの主張です。その楽しみに導かれて人は仕事を全うしているのだということです。これは生徒の皆さんの保護者の方も実感できることでしょう。
私も、そうだと思います。自分も仕事はきついと感じる時がありますが、書類が完成した時の充実感だったり、朝会で生徒に話したとき、「校長先生の話、よく分かったよ」と言われると、やりがいを強く感じます。この極端な例が、甲子園の高校野球でしょう。優勝校は1校です。しかも、栄光は選手の人生の長さから比べれば一瞬です。それでも全国の球児は、この一瞬の栄光(ホイジンガの言う「楽しみ」と言い換えてもよい)のために、厳しい練習にも耐えるのです。
誠和福祉の生徒に望むこともまさにここにあります。とにかく学校で何でもよいので「楽しみ」を見つけること。「楽しみ」を見つければ、それに導かれて学校生活は充実したものになります。
ホイジンガは言います。「どんなつらい状況にあっても、人は「楽しみ」を見つけることができる。ただ前を向いていないと、「楽しみ」は見つからない。」